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【セミナーレポート】自然派スパークリング!テイスティングセミナー

THE CELLAR Roppongiの実店舗では当店スタッフはもとより、インポーターさんからお招きした講師陣や、ときには国内外の造り手さんから直接リアルなお話を聴ける多彩なセミナーを開催しております。

今回は、「自然派スパークリングセミナー」と題しまして、ヌーヴェルセレクション社より、安藤さんをお迎えし、自然派という宇宙、そして親しみやすいスパークリングワインをご紹介いただきました。

「オーガニック」、「自然派」そして「ビオワイン」と、我々の言語感覚は曖昧模糊とした表現たちを輩出し、それぞれの意味するところはよくわからないというのが現状。皆様もついつい、もやもや ゆるふわ なちゅらる ワードを使ってしまうこと、ありませんか。 ワタシ個人は、そういう鷹揚なジャパニーズアダプタビリティが大好きなのですが、安藤さんは、ワタシの呆けた面に待ったをかけます。

“ビオな”ワインは、生産のメソッド、それが満たしている基準、そして認証機関によって、細かく差別化されます。茫漠として大きなイメージしかもたらさない自然派、あるいはビオワインという括りに対して、今回は「ビオロジック(有機農法)由来のワイン」と「 ビオディナミ由来のワイン」という、葡萄の栽培方法に基づいた分類を導入しました。「2」から先は面倒くさくて数えられないワタシにも、これは非常にフレンドリー。 実は、Vin Naturel や S.A.I.N.S(Sans Aucun Intrant Ni Sulfite) と呼ばれる更にストイックなワインたちも存在しているのですが、これらは”醸造”による区別という色合いが強いので、今回は割愛。

さて、今回設けられた、シンプルかつ親切なボーダーラインによって見えてきました、 ビオロジック(Agriculture Biologique) と ビオディナミ(Agriculture Biodynamique)という、2種類を簡単にご紹介。

Agriculture Biologique (ビオロジック)

有機栽培と翻訳される農法です。 土壌活力、生態系、人体の健康の維持を根幹においた生産システムで、本セミナーでは「自然を尊重した農業形態」とまとめられました。 農薬、除草剤、殺虫剤、酸化防止剤などの化学薬品、化学肥料に依存しないプロセスの定着が重要な到達点です。
具体的には

  • 化学肥料、基準を満たさない農薬の不使用
  • EUで認証された有機肥料の利用
  • OGM、放射線処理の禁止
  • 上記の条件に沿った農法の一定期間(2年-3年)の継続

 

が条件とのこと。
あくまで、立証されている害に対するエリミネーションという姿勢がビオロジックの根底にあるように感じます。ちなみに、EUの基準では2012年からワインの醸造に関しても規則が定められており、SO2添加量や、フィルター、マストの強い加熱などに規制をかけています。醸造に関しては、無添加ヘルシー怪獣たちが近頃散見されるようになったため、”案外ユルい規制”という印象をいだきがちですが、実際は結構シビアな管理がなされています。

代表的な認証マーク

    • ABロゴ/ユーロリーフ
    • EUのオフィシャルなロゴ。EUが INAO、Agence Bio という機関を通して運営しています。何しろ母体がEUなので、最も頻繁に目にするマークだと思います。生産工程における加工品に関しては、有機農法によらないものが混ざっても良い。GMOも意図的でない形で微量であれば、混ざっても良い。など、産業の持続において、排外的ではない、厳しくもなだらかな基準を採用しています。

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  • Nature et Progres (ナチュール エ プログレ)
  • 実は、EUロゴより歴史のある私設機関。あまりワインのラベルの上で見ることはありませんが、名のあるマークの一つです。基準は私立であるからにちょっと厳格。有機農法由来への限定、GMOの排除を徹底しています。

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Agriculture Biodyanimique (ビオディナミ)

今回試飲しましたワインのうち2種類が、このメソッドに沿って生産されているそうです。 ルドルフ・シュタイナーの独義に基づいた農法。 19世紀末から20世紀初頭にかけて活動した”人智学者”で、多岐にわたる分野で、独自の理論を導入したそう。字面としては、ビオロジックと似通っていますが、思想の出どころが異なります。 ビオロジックへ、さらに網目の細かい基準を導入した発展系、という解釈はどうやらちょっと間違っているようです。初耳でしたが、邦訳すると「生力学」となるとのこと。実にあやしいワードですが、そっとしておきましょう。 「Fury Road」が「怒りのデスロード」と訳されていることを思えば、「Biodynamie」に対する「生力学」を呑み込むことなど、おちゃのこさいさいです。

さて、Biodynamie の特殊性は 「宇宙に起因する力(Force Cosmique)を呼び込み、地球の力(Force Terrestre)を励起して、土壌や作物の活性化を促す。」 という奇天烈な思想にあります。おわかりでしょうか。 書いたワタシはさっぱりわかりませんが、ともあれセヴンスセンシズが疼きます。 想定する循環系に取り込む要素のスケールがでたらめに大きいわけです。現代科学では、証明のしようがありません。

ビオディナミでは、この途方もない教義を実践するにあたって、特殊なカレンダーと、プレパラートというマジカル肥料を導入します。 ちょっとだけご紹介。

ビオディナミカレンダー

コズミック フォースも常時絶好調というわけではないらしく、時間軸に沿って、その強度あるいは、性質が連続的に変化します。その変化に呼応する形で、作物もメタボリズムを移行させるため、それに従って農作業のアプローチも変えなければなりません。月の満ち欠けが重要な指標。他の天体を追いかけるのは少々面倒なので、実際のカレンダーには、多くの場合月の満ち欠けだけが示されています。このカレンダーでは、それぞれの日付に対して、「花の日」「果実の日」「根の日」「葉の日」というように、作物の状態を表現するようなカテゴリーが与えられています。

仏滅の日に宝くじを買ってはいけないように、根の日に収穫をしてはいけないのです。当たり前でしょう? ちなみに、この暦はボトルの中のワインにも影響を与えるそうで、それに基づいて「ワインを飲むのにうってつけの日」を教えてくれるアプリまで存在します。 ま、ワタシは5行7列の長方形のほうが好きです。

プレパラート

500-507番までナンバリングされた独自の有機肥料。 プレパラート(Präparat)というのはドイツ語。フランス語ではプレパラシオン(Preparation)。どちらも見かけますね。この場合は、理科室にあるガラス板ではなく、以下にご紹介するような肥料を指します。「調合、調合薬」と翻訳するとちょうど良い代物で、剣と勇気と魔法の物語に出てきそうなアイテムからグツグツと合成。番号が500番台なのは、現在の文明がアトランティス文明から数えて5番目にあたるからなのだとか。

  • 500 雌牛の角につめた牛糞
  • 501 雌牛の角につめた珪石
  • 502 鹿の膀胱に詰めたノコギリソウ
  • 503 牛の腸に詰めたカツミレ
  • 504 イラクサの葉と茎を地中に埋めて作る腐葉土
  • 505 家畜の頭蓋骨に詰めたオークの樹皮
  • 506 牛の腸に詰めたタンポポ
  • 507 カノコ草の花びらを搾った液体

 

「なんてデタラメな配合…」とも言い切れません。 シティボーイを威圧する効果のほかにも、植物や土壌を活性化しうる、それぞれに特有の機能を持っているそう。 ですが、おっかなびっくりしている都市型もやしの理解の範疇を超えているので割愛します。 ざっくり申し上げれば、これらの混合物は、「生命力?( Force Vivante)」を与えるのだそうです。

醸造に関しても、ビオロジックより厳格な規制がなされています。SO2添加量は、コンヴェンショナルな醸造によるワインの約半量が上限。補酸やタンニンの添加も禁止されています。

代表的な認証マーク

  • デメター(Demeter)
  • 最も認知度の高いビオディナミのマークではないでしょうか。ルドルフ・シュタイナーの講義に共鳴した農業従事者たちの組合を始祖としており、その設立の発端は1924年まで遡ります。設立以降は欧州を中心に、世界各地へ規模を拡大。1997年より国際機関としてビオディナミの普及につとめています。ビオロジックより厳格な基準を設けており、また、先述のプレパラートの利用を義務化。醸造に関しても、EUの基準よりもハードルの高いものになっています。

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  • ビオディヴァン (BiodyVin)
  • フランス発祥のワイン生産者組合SIVCBD(Syndicat Internationel Viticole en Culture Bio Dynamique) が認証しているマーク。フランスと他近隣の欧州国のワインにしか見られないもので、あまりメジャーではありません。適正検査はEcocertに委託しており、”ビオディナミのエリート生産者の集い”というのが個人的な印象。ルフレーヴやトラペも加入しています。

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テキストにしてしまうと、匙を投げたくなりますが、ビオディナミを謳っているドメーヌは多く存在します。 日本にこれだけ出回っているのだから、母数は結構なものではないでしょうか? 理屈よりも実践が先を行き、それを通して生産者達は、リアルな感覚と成果を獲得しているのでしょう。 いい葡萄を作ろうと思ったら、自然に行き着いた先がbiodynamieだった。という生産者の声も、見る機会が多いと感じます。 学術的な詳説に興味がある向きには、ご自身で”秘教”解読の旅に出ていただくとして。 さて、アルコールを摂取する前から頭がクラクラしておりますが、ようやく試飲に突入。

最初の2本はオーストリアから。農地面積の約20%が、ビオロジック、またはビオディナミによる生産に利用されているとのこと。日本においては1%未満ということなので、これはやはり、とんでもない数字です。

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◆ハギャル・マティアス ツヴェイゲルト・ブライシュゲブレスト・セッコ NV
Hager Matthias Zweigelt gleichgepresst Secco NV
葡萄品種 Zweigelt 100%

ツヴァイゲルトから作られた ブラン・ド・ノワール。発泡性は炭酸ガスの注入によってもたらされています。 Demeter認証のビオディナミ生産者ということで、”ばっちいワイン”を想像していましたが、そんなことはまったく。いやいや、失礼いたしました。 ビオディナミ的な自己主張がなく、とってもやさしい味わい。ブランドノワールだからでしょうか、輪郭もマルくとげとげしい要素がありません。

 

peter & Paul Petnat

◆ペーター&パウル ペットナット 2016
Peter & Paul Pet Nat BIO 2016
葡萄品種 Gruner Veltriner 70%, Riesling 20%, Gelber Muscateler 10%

一次醗酵由来のCO2のみで作られた発泡性ワイン。Pet Nat は、”Petillant Naturel”の略です。 この生産者はBIOSという超マイナー団体からの認証を得ています。先のブランドノワールに輪をかけて ゆるふわ系。 乾いた草のようなニュアンスに、ミュスカ由来なのでしょうか、マスカットのような風味がほのかに漂って、ちょうどよい充実感があります。泡の質感も大粒で弱めなペチペチ系。

 

続いては、アルザス。フランスの北東、ヴォージュ山脈の軒下に、冷涼ながら降水量が非常に少ない地域。そういった恵まれた気候条件から、フランス国内でも有機栽培が盛んな地域として知られています。

Henry Fuchs CDA exra brut

◆アンリ・フックス クレマンダルザス・エクストラブリュット NV
Henry Fuchs Cremant d’Alsace Extra Brut NV
葡萄品種 Pinot Auxerrois 100%

瓶内二次醗酵によるスパークリングワイン。18ヶ月の瓶熟成を経ています。 ビオロジックの認証をEcocertから。 閉じた時に飲んだからでしょうか、とってもキリリとしたバランス。強く主張はしないながら、柑橘もあり、どこかトロピカルな印象もあり…じわじわ美味しいオールラウンダーでした。

 

clement Klur Manekineko

◆クレマン・クリュール クレマンダルザス・ブリュット・キュヴェ・マネキネコ NV
Clement Klur Cremant d’Alsace Cuvee Manekineko NV
葡萄品種 Pinot Blanc 60% Pinot Auxerrois 40%

こちらもDemeter認証を受けているドメーヌ。 ピノ・ブランが入ったからなのか、なんなのか、芳香が華やかさを増しています。ハル・ベリーでもないけど、アン・ハサウェイでもないし…かと言ってミシェル・ファイファーでもなくて…。誰もと言えませんが、きめ細かく広がる泡も非常にシャープで、辛めにサッと渇きを潤してくれる、麗しのキャットウーマンでした。あ、強いて言うならユマ・サーマン。

 

トリを飾るのはシャンパーニュ2連発。シャンパーニュと言えば、農薬搭載の小型飛行機が、泡よ 翼を震わせて あなたの元へ届きませ…みたいな。こんな偏見を抱きがち…なのはワタシだけでした。深く反省します。

legret et fils mineral

◆ルグレ&フィス ミネラル NV
Legret et Fils Mineral NV
葡萄品種 Chardonnay 100%

2005年から有機栽培、2010年からビオディナミに移行しているという努力家。 今回、ワタシのイチオシ。 ブラン・ド・ブランのど真ん中を切り裂く直球が、ビオディナミだと言うから驚きです。屁っ放り腰なワタシはひっくり返りました、ど真ん中なのに。こういった輪郭がぼやけておらず、集中度が非常に高いワインが、「自然派」をテーマに置いたセミナーで飲めるとは思いませんでした。ということで、本セミナーのサイ・ヤング賞はコレです。おめでとう!

 

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◆デュフール ラ・ソヴァージュ・ブランドブラン・エクストラブリュット NV
Dufour La Sauvage Blanc de Blanc Extra Brut NV
葡萄品種 Chardonnay 100%

ビオロジックの認証を得た後、こちらもビオディナミに移行中。 出ました、沢庵系。ノンヴィンテージですが、10年近くの熟成を経ていて、ミレジメのシャンパーニュ寄りの味わいです。「喝」か「あっぱれ」か評価が分かれそうですが、コクと奥行きのある味わい、沢庵のデモ行進の中にも存在感のある果実味に、ワタシはにんまり親分気取り。ともあれ、このワインは本セミナーで一番人気でした。皆さま意外と熟成感がお好みなのですね。

 

今回のアイテムに唯我独尊的な自然派アナーキスト達は、幸か不幸か欠席で。それだけに「自然派スパークリングの今」をじーっと覗き見することができました。軽快にワインを紹介していく安藤さんの陰で、「こんなクリアで優しいワイン達がいるのね…」と、ますます反省。

試飲の最中には、

「スワリングの回転方向によって、ワインの味が変わる。」
「根の日に飲むワインはまずい。」
「キャップシールはワインの味に影響する」

などなど、空中浮遊系の話題もポコポコと噴出。 やはり自然派とほろ酔いが融合すると、どうしてもこういうアツい地下水脈を刺激しがちです。

放っておくと、

「自転の方向にあわせないとワインはアガってこないんだよ、わかる?」
「それにしても月を見ないで、よくワインが飲めたもんだな」
「ソラと十字架と葡萄のエネルギーの集約がワインだろ、むしろ」

てな具合に、宇宙をまたにかけた大戦争になりかねません。

せっかくオーガニックにほろ酔って、精神衛生が改善されたというのに、こういうキナ臭いのはワタクシ御免なので、ヘルシーでビオロジックなゲップを吐き出し、目を閉じてSO2を数えながら、グーグー寝ました。

まとまりも、オチもないレポートで恐縮ですが、大変朗らかで、風通しのよいセミナーでした。 ご参加いただきました皆様、ご指導下さいました安藤さん、ありがとうございました。 願わくば、皆様のセミナーでのエクスペリエンスが、泡沫的なものにならぬことを祈って。

そして、ご一読くださった、”選ばれし”皆様にも感謝申し上げます。

今後もセミナーやイベント、多数企画してまいります。

どうぞよろしくお願い申し上げます。